太田市役所にVTuber導入を提案したい!デジタル時代の新しいPR戦略を考えてみた

自治体への提案

提案の背景:太田市の魅力とデジタルシフト

太田市は、自動車メーカーSUBARU発祥の地として発展し、製造品出荷額が3兆円近くにのぼる北関東最大の工業都市です​。

市内には戦国時代に築かれた金山城跡(新田金山城)があり、堀切や土塁・石垣など数多くの遺構が現在も残る国史跡として知られています​。

参考:不落の城!太田の金山城跡の遺構を歩く

さらに徳川家康ゆかりの大光院(通称:子育て呑龍〈どんりゅう〉様)といった歴史ある寺社もあり、古くから“子育ての神様”として広く親しまれてきました​。

参考:太田市にある大光院の見どころは?概要やイベント情報もご紹介

このように産業から歴史文化まで多彩な観光資源を持つ太田市ですが、その魅力をより効果的に発信するために、近年注目されているデジタル技術の活用にも目を向け始めています。

太田市を代表するご当地グルメ、濃厚ソースが絡んだ「上州太田焼きそば」

キャベツと極太麺、真っ赤な紅ショウガの彩りが食欲をそそります。

市内には焼きそば店が数多く存在し、観光協会は太田市を「焼きそばの街」としてPRし始めるほど焼きそば文化が盛んです​。

B級グルメとして県内外にファンの多い太田焼きそばは、太田市の新たな名物として注目されており、市外からこの味を求めて訪れる観光客も少なくありません。

魅力的な食文化も観光資源の一つとして発信していく価値がありますよね。

こうした太田市の魅力を発信する方法も、時代とともに変化しています。

最近では自治体のPRにもデジタル化の波が押し寄せ、なんとVTuber(バーチャルユーチューバー)を公式に起用する例まで登場しています。

実際、東京都は2023年に観光大使の一部にVTuberを選任し、埼玉県でもVTuberの春日部つくしさんが「埼玉バーチャル観光大使」として活動するなど、いくつかの自治体が観光PRのためVTuberとタイアップしています​。

参考:なぜ企業や自治体が「VTuber」を起用するのか?

そんな中、「デジタルに強い太田市」を目指して市役所がVTuberを導入したら、どんな可能性があるのでしょうか?

ここからは、VTuberを活用するメリットや課題、そして今後の展望について見ていきたいと思います。

VTuber導入のメリット

太田市役所がVTuberを導入すると、どんな良いことがあるのでしょう?

考えられる主なメリットをまとめてみました。

  • 観光資源をPRし、県内外への認知度を向上
     VTuberはSNSや動画を通じて情報を発信しやすく、特に若い世代にリーチできます。
     例えばVTuberを活用すれば、SNSに親しんだ若年層に情報が拡散しやすく、地元民しか知らないような観光地やグルメを県外の人にも知ってもらえる可能性があります​。
    参考:“VTuber”が地域を盛り上げる!地方創生×VTuberのコラボ事例を紹介!
     実際、岡山県新見市ではVTuberを起用した施策によってふるさと納税寄附数が前年比約2倍になるなど、まちの認知度アップに成功した例もあります​。
     太田市でもVTuberが金山城や太田焼きそばなどを紹介すれば、「知られざる太田の魅力」が一気に全国区になるかもしれません。
  • 市の広報力を強化し、情報発信をより親しみやすく
     硬いイメージになりがちな市役所の情報も、VTuberが伝えることでグッと親しみやすくなります。
     画面越しにキャラクターが話しかけてくれると堅苦しさが和らぎ、市のニュースや施策も住民にとって身近に感じられるでしょう。
     実際に、その地域出身のVTuberが活躍すると地元民も盛り上がり、地域の象徴として愛されるご当地キャラクター的存在になることで、地元以外の人にも興味を持ってもらえるきっかけになります​。
     太田市独自のVTuberキャラが誕生すれば、市民に愛される新たな“マスコット”として広報活動を盛り上げてくれそうです。
  • 市民や若年層とのコミュニケーションを活性化
     VTuberは主にYouTubeやSNS上で活動するため、若い世代との接点が飛躍的に増えます。
     動画のコメント欄や生配信を通じて双方向のやり取りも期待でき、これまで市政情報になかなか関心を持たなかった層にもリーチできるでしょう。
     特に10〜20代の若者にとってVTuberは身近な存在ですから、そうした層に市からのメッセージを届ける新たなルートになります。
     「難しそうな市のお知らせもVTuberの〇〇ちゃんが教えてくれるなら見てみようかな」と思ってもらえたらしめたものです。
  • 企業・自治体とのコラボレーションの幅が広がる
     VTuberを持つことで、他の自治体や企業とのタイアップ企画も展開しやすくなります。
     実際に全国各地で自治体同士や企業×自治体でVTuberを活用したコラボ事例が増えています​。
     例えば、東京都とVTuber事務所のホロライブが組んだ観光企画や、埼玉県がVTuberを観光大使に任命したケースなど、VTuberを介した相互PRは話題性も抜群です​。
     太田市のVTuberが誕生すれば、近隣自治体と合同で動画配信イベントを開いたり、企業のキャンペーンに登場したりといった機会も期待できます。
     市単独の発信に留まらず、広域連携によるプロモーションの可能性が広がるでしょう。
  • 地域産業(製造業・飲食業)との連携促進
     太田市と関わりの深いスバル関連企業や製造業、飲食店など地元産業とのコラボもVTuberなら実現しやすくなります。
     たとえば岩手県八幡平市では、地元企業とVTuberが共同開発したコラボ商品を道の駅で販売し、特産品のPRや観光客誘致に繋げた例があります​。
    参考:VTuber出演の漫画や生配信で岩手県八幡平市の「まちの魅力」を発信!
     同じように太田市でも、VTuberが市内企業の商品を紹介したり、名物グルメを食レポしたりする動画を制作すれば、企業にとっては新たな販路開拓・宣伝となり、市にとっても地域経済の活性化に貢献できます。
     スバルゆかりの地である強みを活かし、例えばVTuberが最新のスバル車に試乗する企画や、工場見学レポート動画なんて面白そうですよね!
     地元飲食店とタイアップして太田焼きそばをPRする企画なども考えられ、VTuberを通じて産官学連携的な盛り上がりが期待できます。

課題と対策:導入へのハードルをどう乗り越える?

メリットいっぱいのVTuber導入ですが、実現にあたって考えておくべき課題もあります。

ここでは太田市役所がVTuberを運用する際に直面しそうな課題と、その対策アイデアを挙げてみます。

  • 予算確保と効果的な運用計画
     VTuberを始めるにはまず初期費用がかかります。
     キャラクターデザインやLive2Dモデルの制作費用は相場で数十万円程度(例:イラスト制作約12万円~、Live2Dモデリング約30万円~)とされています​。
    参考:PR大使に自前「VTuber」を検討! 下がる導入ハードルと、SNS時代に期待膨らむ起用効果
     加えて声優・配信者への人件費や動画編集費なども見込む必要があります。限られた市の予算内でどう賄うかが課題ですが、対策としては段階的な導入外部資金の活用が考えられます。
     例えばまず低コストで2Dキャラを作成し試験運用を行い、その効果を検証してから本格展開する段階的アプローチです。
     また、国や県のデジタル戦略補助金を活用したり、市内企業から協賛を募ったりすることで予算面のハードルを下げられるでしょう。
     VTuberの効果はデータで示しにくい部分もありますが、前述の新見市のようにふるさと納税増加など具体的な成果事例​を示し、「費用対効果が見込める投資」であることをアピールしていきたいところです。
  • 議会・市民の理解を得るアプローチ
     新しい試みにはどうしても賛否がつきもの。
     市役所がVTuber?と最初は驚く市民や議会関係者もいるかもしれません。
     そこで重要になるのが事前の丁寧な説明と成功事例の共有です。
     例えば「東京都や埼玉県でも既にVTuberを起用しています​」といった他自治体の事例紹介や、具体的な活用イメージのプレゼンを行うことで、関係者の不安や疑問を解消できます。
     また、試験的に短期間プロジェクトを走らせてフィードバックを収集し、その結果をもとに本格導入の是非を判断するといったプロセスを踏むのも有効です。
     市民向けにはアンケートや説明会を通じて意見を募り、「みんなでキャラクターを育てていく」参加型の姿勢を示すと共感が得られやすいでしょう。
     「市民の声から生まれたVTuber」というストーリーになれば愛着もひとしおです。
  • VTuber運用の継続性とキャラクターのブランディング
     一度VTuberをデビューさせたものの、その後コンテンツが止まってしまっては元も子もありません。
     継続して運用するためには、担当チームや配信スケジュールの確保、キャラクターの方向性(キャラ設定)の明確化が欠かせません。
     せっかく生まれたキャラクターを長く活躍させるには、「太田市と言えばこのVTuber!」と定着するまで育てていく必要があります。
     沖縄県のご当地VTuber「根間うい」さんのように、地域で愛されるVTuberが生まれると地元も盛り上がり、そのVTuber自体が地域の象徴となって外部の人にも興味を持ってもらえるようになります​。
     太田市でもキャラクターの世界観や口調に太田らしさを織り交ぜ、公式マスコット的な存在へとブランディングしていく戦略が求められます。
     また運営体制の安定化もポイントです。
     担当者の異動や声優さんの事情などで活動休止…という事態を避けるために、複数人体制で運営に当たったり、キャラクターの設定上「中の人」が交代しても違和感のない工夫(例:設定で双子のキャラがいて交互に出演できるようにする等)も考えられるでしょう。
     「細く長く」活動を続け、徐々にファンを増やしていくことがVTuber成功の鍵です。
  • コンテンツ制作の課題とクリエイティブな解決策
     VTuberとはいえ中身は「情報発信コンテンツ」ですから、継続的に市の魅力を伝えるネタを生み出すクリエイティブ力が求められます。
     最初のうちはネタが豊富でも、いざ定期配信となると「次は何を動画にしよう?」と悩むこともあるでしょう。
     そこで、コンテンツ制作を支える仕組みを用意しておくと安心です。
     例えば市の広報課だけで抱え込まず、地元のクリエイターや大学・高校のメディア系学部と連携して企画を募る方法が考えられます。
     学生とのコラボで企画・脚本コンテストを開催し優秀作を動画化する、なんて取り組みも面白そうです。
     幸い今はSNSで視聴者の反応をすぐ知ることができる時代なので、再生数やコメントなどから人気企画の傾向を分析し、「市民が本当に見たい内容」を柔軟に取り入れていく姿勢も大事です。
     また、埼玉県の春日部つくしさんのように定期的に観光地紹介動画をYouTubeにアップロードし続けることで​、視聴者の習慣化(「〇曜日は〇〇市VTuberの更新日!」といった期待感)を狙うこともできます。
     コンテンツ制作は大変ですが、市民の声やアイデアを巻き込みながら楽しく続けていきたいですね。

今後の展望:VTuberが拓く太田市PRの未来

VTuber導入のメリットと課題を踏まえると、実現に向けてクリアすべき点はありつつも、その先にはワクワクするような未来が見えてきます。

最後に、太田市役所VTuberが活躍した場合に考えられる今後の展望を描いてみましょう。

デジタル時代の新しいイベント展開
 太田市のVTuberが誕生したら、市内外のイベントでの活躍に期待です。
 例えば市主催の観光イベントや物産展でVTuberがスクリーン越しに登場し、来場者とリアルタイムでトークをする企画は盛り上がるでしょう。
 実際、千葉県船橋市の市民まつりでは大型ディスプレイに映ったVTuberが来場者と一対一で会話し、特産品を紹介して大盛況でした​。
 太田市でも同様に、VTuberが観客の質問に答えたり、おすすめスポットを紹介したりするライブ企画があれば、子どもから大人まで楽しめること間違いなしです。
 さらに、オンライン上でもバーチャル観光ツアーを開催するなど、新しいイベントの形が考えられます。
 VR技術と組み合わせて金山城跡やスバルの工場をVTuberが案内するバーチャルツアーなんて実現したら、遠方の方にも太田の魅力を体感してもらえそうですね。

他自治体や企業とのコラボレーション
 VTuberという共通の“キャラクター言語”を持つことで、他地域とのコラボがぐっとやりやすくなります。
 例えば近隣の自治体と合同でVTuberイベントを開催し、互いの市を紹介し合う動画を制作するのも良いでしょう。
 同じ群馬県内でVTuberを導入する自治体が出てくれば、「群馬VTuber連合」的な企画で県全体のPRを行うなんて夢も広がります。
 また企業とのタイアップも積極的に狙えます。
 太田市ならではの企業といえばやはりSUBARUですが、VTuberがSUBARU関連のイベントにゲスト出演したり、新車発表のPR動画に登場したりすれば大きな話題になりそうです。
 市内の商店街や飲食店と協力してVTuberオリジナル商品の開発をするのも面白いかもしれません。(VTuber監修メニューの焼きそばやスイーツなど!)
 このように、VTuberは自治体の枠を越えた幅広いコラボレーションの扉を開いてくれます。

デジタル活用による新たな地域活性化
 VTuber導入はゴールではなく、デジタル技術を活用した地域活性化のスタート地点とも言えます。
 VTuberの活動を通じて蓄積したノウハウやファン層は、他のDX(デジタルトランスフォーメーション)施策にも活かせるでしょう。
 例えばオンライン上で開催するバーチャル物産展では、VTuberが“売り子”となって太田市の名産品を紹介・販売するといった新しい試みも可能です​。
 実際にVTuberが画面上で商品を手に取って説明し、その場で視聴者がECサイトから購入できるライブコマース的な取り組みが実現すれば、販路拡大とPRを同時に達成できます。
 デジタル空間に太田市の市場や観光地を再現し、全国の人々がバーチャル訪問できる「メタバース太田市」のような構想だって将来的には夢ではありません。
 VTuberで培った発信力を軸に、最新技術を積極的に取り入れることで、これまでにない形の地域活性化が期待できるでしょう。

伝統文化や地域の特色との融合
 デジタルなVTuberだからこそ、逆に伝統ある太田市の文化とのギャップが魅力になります。
 例えばVTuberが金山城の歴史や城下町太田の昔話を紹介するシリーズ動画を作れば、ゲームやアニメが好きな若者にも歴史に興味を持ってもらえるかもしれません。
 沖縄のご当地VTuber「根間うい」さんは伝統文化や方言を交えて沖縄の魅力を世界に発信していますが​、太田市のVTuberも上州弁で話してみたり、祭りの法被や甲冑風コスチュームを着て登場したりすれば面白いですよね。
 毎年初夏に大光院で行われる「呑龍様の夏祭り」ではVTuberが祭りの由来を分かりやすく解説したり、焼きそばの食べ歩き企画で老舗焼きそば店を巡ったり…
 想像がどんどん膨らみます!
 伝統×デジタルのコラボは、一見ミスマッチなようでいて新鮮な驚きを生み、従来リーチできなかった層への訴求につながるでしょう。
 太田市の誇る歴史や文化を現代風にアレンジし、VTuberというキャンバス上で表現していくことで、「古くて新しい」魅力を発信できるのではないでしょうか。

おわりに
 太田市役所へのVTuber導入について、提案の背景からメリット、課題、そして将来の展望まで駆け足で綴ってみました。
 最初は驚きのアイデアに思えるかもしれませんが、デジタル時代に即した自治体PRの手法としてVTuberは十分現実味を帯びてきています。
 スバルの街・太田、市民みんなで育むVTuberが誕生したら…
 そんな日が来るのを想像するとちょっとワクワクしませんか?
 地域の伝統を大切にしつつ新しい風を取り入れていく太田市の挑戦に、今後もぜひ注目していきたいと思います。

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