
※写真は前橋市役所の庁舎。デジタル化を積極的に進める前橋市に対し、広報にVTuber(バーチャルYouTuber)を起用するという挑戦的な提案を行いたいと考えています。もしも提案が通れば、市民に身近な存在として、オンライン上で市の魅力を発信するVTuberが誕生するかもしれません。
近年、全国の自治体でデジタルシフト(DX)が進み、前橋市も例外ではありません。
例えば前橋市は2020年10月、全国初となる市役所窓口業務へのAI導入実験を行うなど、行政サービスのデジタル化に積極的です。
こうした背景の中、「もし前橋市が公式VTuberを作ったら?」という声も聞かれるようになりました。
前橋市には赤城山や前橋花火大会、前橋文学館といった素晴らしい観光資源や文化施設があります。
それらをデジタルの力でより多くの人に届けたい―
そんな思いから、市役所VTuber導入を提案したいと思います!
導入の背景:前橋市のデジタルシフトとVTuberの可能性
前橋市は「水と緑と詩のまち」と称され、郊外には日本百名山の一つ赤城山がそびえ、市街地では毎年夏に前橋花火大会が開催されます。
前橋花火大会は約15,000発もの花火が夜空を彩り、なかでも前橋発祥とも言われる「ナイアガラの滝」仕掛け花火は圧巻で、市民に愛される夏の風物詩です。

また、文学館では郷土出身の詩人・萩原朔太郎の貴重な資料を全国トップクラスの規模で所蔵・展示しており、前橋の文化的な一面を担っています。
こうした前橋の観光資源や文化を、デジタル技術でさらに発信していこうという流れがあります。
市は既にオンライン手続きや市民向けアプリ開発などDXを推進しており、行政と市民をつなぐ「めぶくID」など先進的なサービスにも取り組んでいます。
そこに加えて、VTuberという新しい広報手法に注目が集まっています。
VTuberとは、アニメ風のキャラクター姿でYouTube等の動画配信を行う存在で、近年は企業や自治体のPRにも活用が進んでいます。
実際、自治体では茨城県が2018年に日本初の公式VTuber「茨ひより」をデビューさせ、観光スポット紹介などに起用しました。

また最近では群馬県が人気VTuberの大神ミオさん(ホロライブ所属、登録者数114万人)とコラボし、群馬の名所を紹介する動画企画を実施しています。
前橋市もこうした成功事例に続き、デジタル世代に響く広報としてVTuber導入を検討していただきたいと思います。
VTuberのメリット
前橋市がVTuberを導入すると、具体的にどんなメリットがあるでしょうか?いくつか考えられるポイントをまとめてみます。
- 観光資源のPRと県内外への認知度向上
VTuberが前橋の魅力を紹介すれば、動画を通じて全国、さらには世界に前橋をPRできます。
実際、埼玉県ではバーチャル観光大使に任命された
VTuber「春日部つくし」が県内各地の観光・物産の魅力を発信し話題になりました。
参考:なぜ企業や自治体が「VTuber」を起用するのか?
VTuberの発信力で、赤城山の四季折々の姿や花火大会の迫力などを広く届ければ、前橋の知名度アップにつながるでしょう。
さらに動画がSNSでシェアされ「バズる」ことで、地元民しか知らなかった穴場スポットが県外の人にも知られる可能性があります。
参考:“VTuber”が地域を盛り上げる!地方創生×VTuberのコラボ事例を紹介! - 市の広報力強化と親しみやすい情報発信
堅苦しい印象になりがちな市役所の広報も、VTuberが伝えることでぐっと親しみやすくなります。
画面の中のキャラクターが明るくニュースを伝えたり、防災情報を説明したりすれば、子どもからお年寄りまで楽しく視聴できそうです。
特にVTuberは視聴者との距離が近く感じられるため、市からのお知らせも「○○ちゃんが言うなら聞いてみようかな」という気持ちにさせてくれるかもしれません。
長野県中野市の公式VTuber「信州なかの」は北信地方の方言混じりの口調で市の話題を紹介し人気を博していますが、こうした親しみやすさが広報効果を高める例と言えます。
参考:VTuber「信州なかの」とは - 市民や若年層とのコミュニケーション活性化
若い世代の多くはYouTubeやSNSで情報収集します。
VTuberを活用すれば、そうした若年層にダイレクトにアプローチ可能です。
動画のコメント欄や生配信で市民から意見を募集したり、質問に答えたりすれば、双方向の交流も生まれます。
従来の紙媒体やホームページでは届きにくかった10〜20代にも、市のメッセージが届くでしょう。
専門記事でも「VTuberを活用する最大のメリットは若年層をターゲットにできる点」と指摘されている通り、若者との接点が広がることで市全体の活気も増すことが期待できます。 - 企業・自治体コラボの可能性拡大
VTuberを導入すれば、他の自治体や企業とのコラボ企画も実現しやすくなります。
例えば同じ群馬県内でVTuberを持つ自治体があれば合同で観光動画を作ったり、姉妹都市のVTuber同士で対談配信なんてことも面白そうです。
企業ともタイアップしやすく、前橋産の農産物をVTuberが食レポする企画や、市内企業の工場見学をVTuberがリポートする動画など、地域産業のPRにも一役買えるでしょう。
実例として、前述の群馬県とホロライブのコラボは自治体×VTuberの大型企画でしたし、岡山県新見市ではVTuber等を活用した「まちスパチャプロジェクト」によりふるさと納税件数が前年比約2倍になる成功を収めています。
前橋市VTuberが人気になれば、県境を越えたイベント出演や企業からのオファーなど、活躍の場はどんどん広がるでしょう。
課題と対策
魅力が多いVTuber施策ですが、導入・運用にあたってはいくつか課題も予想されます。ここでは考えられる課題と、その対策アイデアについて述べます。
- 予算確保と効果的な運用計画
VTuberを始めるには、キャラクターデザインやモデリング、配信環境の整備など初期費用がかかります。
また声優や運営スタッフへの継続的なコストも考慮が必要です。
財政状況が限られる中で予算を捻出するには、国や県のデジタル施策補助金を活用したり、企業版ふるさと納税による協賛を募る方法があります。
費用対効果の面では、再生回数やSNSでの反応などKPIを設定し、定期的に成果を検証する仕組みを作ることが重要です。
例えば初年度は試験運用として季節ごとに動画を公開し、反響次第で翌年度以降の規模を拡大するといった段階的計画も有効と考えられます。 - 議会・市民の理解を得るためのアプローチ
斬新な試みに対しては、議会や市民から「本当に効果があるの?」「税金の無駄にならない?」と疑問の声が上がるかもしれません。
そのため、導入前にはしっかりと説明と対話の場を設けることが欠かせません。
議会には他地域の成功事例データ(観光客増加やPR効果など)を示しつつ、VTuber導入が前橋市の将来的な投資であることを訴えます。
市民にはアンケートやワークショップを通じて意見を募り、「こんなキャラなら応援したい!」という声を取り入れることで親近感を醸成できます。
茨城県の茨ひよりさんがデビュー当時大きく報道されたように、前橋市VTuber誕生となれば注目度も高まるはずです。
その話題性自体が市のPRになることを強調し、理解と協力を求めていきたいところです。 - VTuber運用の継続性とキャラクターのブランディング戦略
VTuberは始めるより続けることが大事です。
せっかくファンが付いても、更新が途絶えてしまっては人気は維持できません。
担当部署や制作協力会社との連携を密にし、定期的なコンテンツ配信スケジュールを策定しましょう。
また担当者異動などがあってもキャラクターがぶれないように、キャラクター設定や世界観を文書化して共有しておくこともポイントです。
キャラクターデザインに前橋らしさを織り込み、例えば赤城山をモチーフにした衣装や、市の花であるバラ(前橋はバラ園でも有名)をあしらったアクセサリーを身につけるなど、ビジュアル面でもブランディングを図ります。
茨ひよりが「オール茨城」の特産品を盛り込んだデザインで話題を呼んだように、前橋VTuberも市民が誇りに思える要素を備えた存在にすることが重要です。
参考:自治体初の「VTuber」は新人女子アナウンサー - コンテンツ制作の課題と解決策
「ネタ切れにならないか?」「動画のクオリティは大丈夫か?」といった心配もあるでしょう。
週1本ペースでも一年で50本前後の動画が必要になりますが、幸い前橋市には四季折々のイベントや話題が豊富です。
花火大会や七夕まつり、紅葉シーズンの赤城山、新年のだるま市など、季節ごとの行事を追いかけるだけでもコンテンツに事欠きません。
また広報課だけで抱え込まず、市内のクリエイターや学生とコラボして動画制作するのも一策です。
「市民参加型VTuber」として企画を募集すれば、新鮮なアイデアが集まるかもしれません。
技術的な解決策としては、近年AI技術の発達によりVTuber運用の効率化も期待できます。
実際、長野県中野市では公式VTuber「信州なかの」をAI化し、リアルタイム対話できるシステムを導入しました。
このようにAIアバターを活用すれば、簡単な案内や自動応答をVTuberが24時間対応してくれる未来も夢ではありません。
コンテンツ制作にAI支援ツールを取り入れ、編集作業の省力化を図るなどテクノロジーもうまく使っていきたいところです。
今後の展望:イベント活用やコラボで広がる未来
前橋市がVTuberを導入した場合、その活躍の場はオンライン動画に留まりません。
考えられる今後の展開をいくつか展望してみましょう。
- VTuberを活用したイベント出演・ライブ配信
前橋花火大会や蒼海(そうかい)祭など、市の主要イベントでVTuberがMC(司会)を務めたり、会場リポートをする未来も期待できます。
大型スクリーンにVTuberを映し出し、来場者に呼びかけたりインタビューする演出は、従来のゆるキャラとは一味違う盛り上がりを生むでしょう。
長野県中野市では、AI化したVTuberを市内イベントに登場させ、来場者と対話できるブースを設けたそうです。
前橋市でも例えば「ばら園フェスタ」でVTuberが花の見どころを紹介したり、「前橋・渋川シティマラソン」で沿道からランナーを応援する生配信を行う、といった取り組みが考えられます。
オンラインとオフラインを連携させることで、イベントの様子を遠方のファンにも届けられ、集客効果や情報発信効果がさらに高まりそうです。 - 他自治体や企業とのコラボレーション
前橋市VTuberがデビューすれば、ぜひ実現したいのが周辺自治体や企業とのコラボです。
例えば群馬県内の他市町村(高崎市や桐生市など)がVTuberを持てば、「群馬VTuber連合」的な企画で合同動画を制作し、お互いの町を紹介し合うなんて面白いかもしれません。
県境を越えて、例えば栃木県や埼玉県のVTuberと交流する企画も考えられます。
「ご当地VTuber観光サミット」といったイベントを開けば話題性抜群ですね。
企業とのタイアップも将来の大きな可能性です。
前橋市内の企業はもちろん、全国展開する企業が前橋市VTuberをイメージキャラクターに採用するといったケースもあり得ます。
VTuber市場自体が拡大しており、様々な業界が注目している流れがあります。
そうした波に乗りつつ、前橋市VTuberならではの魅力を武器に、民間とのコラボで新たな価値を創出できるでしょう。 - デジタルを活用した新たな地域活性化の可能性
VTuber導入はゴールではなく、デジタル時代の地域活性化のスタートです。
将来的にはメタバース上に仮想前橋市を作り、VTuberがバーチャル観光案内する…なんて構想も夢ではありません。
観光地の360度カメラ映像とVTuberを組み合わせて、オンライン赤城山ツアーを開催すれば、自宅にいながら旅行気分が味わえます。
さらに国が推進する「デジタル田園都市国家構想」に呼応し、前橋市VTuberが他地域のDX推進企画に参加したり、全国の自治体DXコンテストで発表するなんてことも考えられます。
デジタル技術で地域課題を解決する取り組みにVTuberが関わることで、「行政=お堅い」というイメージを払拭し、若い世代が地域づくりに関心を持つきっかけにもなるでしょう。
「推しのVTuberが紹介していたから行ってみた」というファン心理は強力で、その力を地域振興に繋げられるのは非常に魅力的です。
親しみやすいキャラクターが市の情報を届け、全国に前橋ファンを増やしていく――。
そんな未来図を思い描くと、前橋市役所VTuberの実現がますます楽しみになってきますね。
もちろん実現には乗り越えるべき課題もありますが、前橋市の持つポテンシャルとデジタルへの前向きな姿勢があればきっと成功するはずです。
市民の皆さんも「もし前橋VTuberが生まれたら…」と想像を膨らませながら、一緒にこの新しい挑戦を応援してみませんか?
前橋市発のVTuberが、私たちの暮らすまちをもっと元気に、そして魅力的に輝かせてくれる日を期待しましょう。
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